そうすると、最初のうちは普通に過ごしていたお子さんが、ゲームにどんどんのめり込むようになり、朝も起きてこなくなりました。

 ついに昼夜逆転生活が始まりました。お子さんも、身動きがとれなくなっている状態は苦しいですから、どうしたらいいかわからなくなっていると、ゲームにのめり込んで現実逃避をするしかありません。

 お子さんの状態がどんどん悪くなってから、Mさんはこのままではマズいと気づき、講座を受講されました。そこで、お子さんに安心・安全な環境を与えていなかったことに気づき、自分が変わらなければ子どもは変わらないことが腑に落ちたといいます。

 でも、これを読んでいるあなたは、きっと読みながらMさんが安心・安全な環境をつくっていないことに気づかれたと思います。

 Mさんはどうしてわからなかったのかと思われるかもしれません。ところが、客観的に見ていると気づくことでも、当事者はなかなか気づかないものなのです。

 ですから、あなたはこの事例を読むことで、どんどん気づいていってくださいね。

「安全基地」があるからこそ、
子どもは安心して外に出ていける

 Mさんですが、自分が変わらなくてはいけないと気づいたものの、イライラは収まりません。でも、講座を続けるうちに「あること」に気づいたら、すっかりイライラしなくなったのです。

 それが、「自分も安心・安全な環境にいなかった」ということです。

 私たちが生まれ育った過程を生育歴といいますが、Mさん自身が生育歴の中で、やっぱり安心・安全な環境にいなかったことに気づいたのです。安心・安全な環境がどんなものなのかということは、頭では理解していても、本当のところはよくわかっていませんでした。

 Mさん自身が子どもの頃にお母さんの顔色をうかがって生活していたことに気づいて、やっとわかったのです。「気づく」ことが、行動が変わるスタートなのです。