私たちは皆、自分が育った家庭が普通だと思っています。ですから親は子どもがよもや家庭に脅威を感じているとは思いません。脅威を感じている子ども自身もそれが普通と思っているために、親から子へと世代間連鎖が起きることが多いのです。

 子育てに悩み、私の講座を受講されたお母さんも、自分の家庭が機能不全家庭だったことに気づき、驚かれ、子どもだった頃の自分に思いを馳せて、涙される方もいらっしゃいます。それが腑に落ちた時に初めて、自分が連鎖を断ち健全な家庭を構築すると決意されます。

 気づいて初めて、お母さんのお子さんへの関わりが自然と変化していくのです。

 家庭が安心・安全な環境になり、安全欲求が満たされると、今まで何をしても学校に行こうとしなかった子が、自然と学校に行くようになります。

 Mさんのお子さんも、2カ月たつ頃には学校に行くようになりました。それだけでなく勉強にも意欲的になり、「こんな子だったの?」とMさんもびっくりです。何よりお子さんとコミュニケーションがとれるようになり、一緒にいる時間が楽しくなったとおっしゃいます。まさに、それこそが安全欲求が満たされた家庭の姿ですよね。

 家庭が安心・安全になると、よけい引きこもるのではないかと思われる方も多いのですが、子どもは、安全基地があるからこそ、安心して外に出て行けることが心理学でもわかっています。これは、いくつのお子さんであっても同じです。