原子力規制委員会は7月下旬、日本原子力発電の敦賀発電所2号機について、新規制基準に適合していないと結論づけた。今回の判定を受けて、日本原電の存続を危ぶむ声がある。しかし、同社の事業継続は、十分に可能である。長期連載『エネルギー動乱』の本稿では、その根拠を解説する。(国際大学学長 橘川武郎)
日本原電敦賀2号機は
「廃炉の道を歩む」
原子力規制委員会は、7月26日に開催した第1272回審査会合で、日本原子力発電(日本原電)の敦賀発電所2号機について、東京電力福島第一原子力発電所事故を受けて制定された新規制基準に適合していないと結論づけた。活断層の存在の可能性を否定できないことが、その根拠である。
原子力規制委が新規制基準に適合すると判断しない限り、たとえ既設の原子炉であっても、再稼働させることはできない。したがって、日本原電敦賀2号機は、今後よほどの状況変化がない限り、廃炉の道を歩むことになる。
今回の規制委の結論は、妥当なものだと言える。
もともと関係者の間では、敦賀2号機は、新規制基準適合の許可が最も取りにくい原子炉だとみなされていた。また、日本原電のデータ改ざんにより審査が中断するなど、今回の結論にいたる経緯も、他の原発の場合とは異なるものであった。
たしかに原子力規制委に対しては、いろいろな批判がある。しかし、原子力の反対派も推進派も批判しているということは、それだけ規制委が中立的な立場を維持して、まともに機能していることの証左でもある。
今回の敦賀2号機不適合判定を受けて、日本原電の存続を危ぶむ声がある。しかし、同社の事業継続は、十分に可能である。