即やせダイエットで人気なのが、ファスティング(断食)や糖質制限。これらをやると1週間たらずで2~4kgほど落ちたりします。

 しかし実は、落ちた体重のほとんどは脂肪ではないのをご存知でしょうか。

 人間の身体は1週間でそれほどの量の脂肪を、自在に減らしたり蓄えたりできるほど効率よくできていません。落ちた分のほとんどが脂肪というのは生理学的に不可能なことで、そんなことができるくらいの身体だったとしたら、これまでの歴史上の飢餓を乗り越えることはできずに、人類はとっくに絶滅していたでしょう。

 1~2週間で見られる体重計の数字の変化は、ほとんど水分と胃腸の中のものです。

 胃腸の内容物は、腸内細菌だけでも1.5kgほどあり、消化中の胃・小腸・大腸のものまで合わせれば5kgほどもあるといわれます。口に入れるものが数日減れば、それだけでマイナス2kgなんて簡単に達成できてしまいます。

 また、サウナに入ってたくさん汗をかいたり、トイレに行く回数が減るように水分摂取を抑えれば、脱水になってあっという間に2kgは減量できるでしょう。

 ファスティングや糖質制限をした時に、見た目にも体重計にもすぐ変化が出るのは、胃腸の中味が減るのと、一時的な脱水でむくみが減るからです。

多くの人がリバウンドを繰り返すから
ダイエット産業はますます成長

 こうした強引なやせ方(というより、やつれ方)をすると、肌の水分が減るのでシワが増えることもありますし、継続することで「栄養が入ってこなくなった」と身体が飢餓に備えて代謝を下げ始めるという副作用がついてきます。身体のプロでも細心の注意を払いながら扱うメソッドなので、一般の方が「流行っているから」と気軽に始めるのは、長期的に見ればかなり危険でデメリットのほうが大きいでしょう。

 ダイエット業界にはこうした誤解を招くマーケティングが蔓延していて、長期的に失敗を繰り返す人々を生み出しながら急速に膨れ上がっています。