ダイエット市場は日本だけでも2兆円規模、世界では34兆円(2270億ドル)といわれる規模まで大きくなりました。甘い言葉に振り回されて努力の方向性を間違えている人が、頑張っているのに結果が出ないサイクルにハマっているのです。

 ダイエットでリバウンドを繰り返して将来的にやせにくい身体になると、結果として「やせたい需要」は増え、ダイエット産業は成長します。

 実際にあった例でいえば、短期間で結果を出すことをモットーとしていたパーソナルトレーニングの会社が、サービス利用後にリバウンドした人に対しリバウンド割引を用意して待ち構えていました。割引ありでセッションを受けられたり、プロテインなどの商品を割引価格で購入できるようにしていたのです。こうしたビジネスモデルは、ダイエットに失敗する人達のおかげで成り立っています。

 考えてみてください。もし長期的にダイエットに成功する人が9割だったとしたら、業界はこんなに儲もうかっていないはずです。本当に人々の幸せを考えるのであれば、私たちは「ダイエット業界が成り立たない世界」を目指すべきなのです。

脳は短期間で結果が出ることを
求めるようにできている

 そもそも、どうして多くの人たちは何年もかけて育った脂肪を、たった数週間で落としたいと躍起になるのでしょうか?あの謎の焦りがどこから来ているか、考えたことはありますか?

 一大決心して劇的にやせようとする前に、「なんで『劇的大変身』が魅力的に感じるのか?」「なんでゆっくり持続可能な変化じゃ嫌なのか?」と一度考える時間をつくってみましょう。