芸術の秋に必見の二つの展覧会「肉筆春画」と若冲超え

京都文化博物館アクセス便利な街なかでアート鑑賞が楽しめる京都文化博物館(中京区)。こちらは元日本銀行京都支店の別館

 紅葉や秋の味覚を楽しむにはまだ早い、そんな9月前半の京都。芸術の秋を先取りして二つのアート鑑賞はいかがでしょう。

 左京区岡崎の平安神宮には平安京を開いた桓武天皇と平安京最後の孝明天皇が祀(まつ)られています。そこから西へ5分ほど、細見美術館では、9月7日から展覧会「美しい春画―北斎・歌麿、交歓の競艶―」が始まります(10月16日から後期展示)。

 東京の永青文庫(文京区)で2015年、日本で初めて大々的に開かれた「春画展」。会場は連日大盛況で、女性の多さに驚いた記憶があります。その巡回展が翌年に細見美術館で開催され、やはり大きな話題を呼んでから8年がたちました。

 前回は浮世絵の大家による春画の名品をそろえたのに対し、今回は一点モノの「肉筆春画」にスポットを当て、海外からの里帰り作品約20件を含むえりすぐりの“美しい”春画約70件が展示されます。春には東京の大倉集古館(港区)でも肉筆春画が地下でひそやかに展示されていましたが、日本初の公開となる葛飾北斎「肉筆浪千鳥」には特に注目です。ちなみに「18歳未満はご遠慮ください」とのことです。

 三条通でひときわ目立つ赤れんがの近代建築。かつての日本銀行京都支店は、京都文化博物館の別館としてよみがえっています。本館では、9月14日から特別展「生誕140年記念石崎光瑤」が開催されます。

 一般的な知名度はあまりないかもしれない石崎光瑤は、戦前の京都画壇を代表する存在だった竹内栖鳳に入門、インドを旅して感性を磨き、写実的な花鳥画で大成しました。「若冲(じゃくちゅう)を超えろ!絢爛の花鳥画」というサブタイトルからもうかがえるように、若冲の魅力を雑誌に紹介したり、自身の作品に若冲の作風を生かしたりと、早くから伊藤若冲の“推し活”に励んだ人物です。今回は、初期から晩年までの代表作が一堂に集結。見応えのある展覧会となる期待大ですよ。

【本文で紹介した名所ほか関連リンク集】
上賀茂神社  法輪寺  車折神社 京都文化博物館 平安神宮 細見美術館