「読む」が得意な人は「聞く」も得意
注意深い人は特に「聞く」才能が突出
まず、「読む」と「聞く」の比較です。
言うまでもなく、「読む」は目から、「聞く」は耳から、言語情報をインプットしていきます。
そのように情報を取り込む体の部位が違うのと呼応して、私たちが見ているときと聞いているときとで、脳は違う部分を使っています。(1*)
(1*)…Buchweitz A.,Mason R.,Tomitch L.,Just M.(2009).“Brain activation for reading and listening comprehension:An fMRI study of modality effects and individual differences in language compre- hension.”Psychology & Neuroscience,2:111-123.
下のイラストのグレーの部分が「読む」で、斜線の部分が「聞く」で活性化する部分です。それぞれのインプットで活性化されている脳の部位が違うのが表されています。
そうした違いと同時に、「読む」と「聞く」の両方のインプットで共通して活性化している脳の部位があることもわかります。イラストの黒い部分です。
特に四角い枠で囲まれている箇所は「ブローカ野」と呼ばれる言語認識に関する脳の部位を含み、「読む」「聞く」と、言語情報が入ってくる経路が違っても、言語認識のメカニズムは共通していることがわかります。
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これは、インプットの実践において重要な情報です。
読むのが得意な人は聞くのも得意、その逆もまたしかりです。なぜなら、「読む」も「聞く」も、共通の言語認識の部位を使うので、その部位が発達していれば、どちらのインプットでも効率が良くなるからです。
やはり、インプットの基礎の「き」になるのは、言語能力であることは否定し難い事実です。
言語能力が高い人は「読む」も「聞く」もインプットの効率が良くなりがちなのです。
しかしその一方で、「読む」と「聞く」とでは、脳の違う部分が使われているのも事実です。そのため、「読む」と「聞く」とで人によって得手・不得手が出うるのです。
例えば、注意力が高い人は「聞くインプット」に秀でているということがわかっています(2*)。
「読むインプット」と違い、音はすぐに消えてしまうので、注意深く聞いておく必要性があるからだと推測されています。