効率の良いインプットは「読む」
「聞く」よりも2倍の速さで入る

 それでは、言語能力の高い人は、「読む」と「聞く」のどちらのインプットでも良く、やりやすいほうがあれば、そのインプットの方法を選べばいいということでしょうか?

 残念ながら必ずしもそうとは言えません。インプットでもう1つ鍵となるものがあります。それは、スピードです。

 これまでの研究で、平均的な「読むインプット」の速さは、「聞くインプット」の速さよりも2倍速いことが明らかになってきています(3*)。

 これは通常、私たちが話す速さが、読む速さに比べて著しく制限されているからです。

(2*)…Wolf M.C.,Muijselaar M.M.L.,Boonstra A.M.,et al.(2019).“The relationship between reading and listening comprehension:shared and modality-specific components.”Reading and Writing,32:1747-1767.

(3*)…Ritzhaupt A.D.,Barron A.(2008).“Effects of Time-Compressed Narration and Representational Adjunct Images on Cued-Recall, Content Recognition, and Learner Satisfaction.” Journal of Educa-tional Computing Research,39(2):161-184.

 例えば、本を通常の速さで1ページ朗読する間に、黙読であれば2ページ読み進めることが可能だということになります。

 いかに「読むインプット」がスピードの点で優っているのかがわかります。それだけに、「読むインプット」をマスターすることが、効果的なインプットにおいてはとても重要なのです。

 しかし、だからといって「聞くインプット」が「読むインプット」より、必ず遅くなってしまうわけではありません。

 特に今は、スマートフォンやコンピューターで早送りして「聞く」スピードを調整することができるからです。