長年の研究で判明した最適スピード
理解度を保って聴けるのはズバリ何倍速?
では、インプットの質を下げずに音声をスピードアップする場合、通常どれくらいまでスピードを上げてもいいのか?
黙読で2ページ読める脳のキャパシティがあるのに、聞いているときはその半分しか進まないのだとすれば、言語の理解力のキャパシティは残っているはず。例えば、2倍速までは理解度を落とさずに速聴できるのではないか?
この問いは、長きにわたり研究されてきました(4*)。
インプットする内容の難易度や個人差にもよりますが、これまでの研究を総合してみると、およそ1.8倍速ぐらいまでが限界ではないかというところです。
特に勉強などで、新しい内容をインプットするような場合には、1.5倍速ほどでも理解度が下がってしまいます(5*)。
その一方で、1.4倍速ほどまでであれば、理解度を下げることなく聞くことができ、さらに、通常の速さで聞くよりも心地良く聞くことができるようです(6*)。
理解が進んでいるのに通常の速さだと、その遅さにストレスがかかってしまうこともあり、適度な速さにすることで、そうしたストレスも避けることができます。
デジタル環境で理解度を下げずに「聞くインプット」をするためには、1.5倍以上の速度は避けるようにしたほうが賢明です。
(4*)…Pastore R.,Ritzhaupt A.D.(2015).“Using Time-Compression to Make Multimedia Learning More Efficient:Current Research and Practice.”TechTrends,59:66-74.
(5*)…Cheng L.,Pastore R.,Ritzhaupt A.D.(2022).“Examining the Accelerated Playback Hypothesis of Time-Compression in Multi-media Learning Environments:A Meta-Analysis Study.”Journal of Educational Computing Research,60(3):579-598.
(6*)…Ritzhaupt A.D.,Gomes N.D.,Barron A. E.(2008).“The effects of time-compressed audio and verbal redundancy on learner performance and satisfaction.”Computers in Human Behavior,24(5):2434-2445.