「いつもイライラしている人」の頭のなかで起きていることいつも何かに急き立てられているように気ぜわしく、ちょっとしたことでカッとなったり、イライラしたり。こんな怒りっぽい人、あなたの周囲にもいませんか?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「ちょっとしたことでカッとなる」「場の空気が読めない」……。これらは発達障害の特徴のひとつです。職場の上司や同僚がこうした特性を持っていた場合、どのように接するのが適切なのでしょうか?※本稿は、公認心理師の湯汲英史氏が監修した『図解 心と行動がよくわかる発達障害の話』(日本文芸社刊)の一部を抜粋・編集したものです。

大人になってから発達障害が発覚することも!
特性が見逃されることが原因

 発達障害は、子どもが成長していく過程で発覚することが多く、かつては子どもだけの病気と考えられてきました。大人が発達障害と診断されるようになったのは、実は15年前くらいからで、「自閉スペクトラム症(ASD)」「注意欠如・多動症(ADHD)」の診断基準が変わったことが影響しています。現在では、20歳までに発達障害と診断される人と20歳以降に発達障害と診断される人の割合は、ほぼ同じです。

 発達障害は生まれつきの特性ですので、「大人になってから発達障害になる」ということは起こりません。つまり、発達障害の特性は子どものころから現れていたはずなのですが、それがずっと見逃されてきて、大人になってから発達障害と診断される人がかなりの人数いるわけです。

 おそらく、子どものころは「ちょっと変わった子」「落ち着きのない子」といった評価で見逃されてきたのだと思われます。それが、進学や就職などで環境が変化し、自身の責任が増え、他人との関わりも必要になっていくなかで、「なぜか自分だけうまくできない」「自分は人とはちょっと違う」と自分で気がついたり、周囲の人から指摘されたりすることで、発達障害であることが発覚すると思われます。