感情の起伏が激しい人
感情の制御は大脳皮質の働きによる

 発達障害の特性により喜怒哀楽の感情が表情に表れにくいケースを紹介しましたが、それとは正反対に感情の変化が激しく、衝動的に表情や態度に出てしまうタイプの人もいます。これは注意欠如・多動症(ADHD)の特性を持つ人に多く見られる症例です。

「いつもイライラしている人」の頭のなかで起きていること『図解 心と行動がよくわかる発達障害の話』 湯汲英史監修 日本文芸社刊 990円(税込)

 ADHDの人が時折見せる衝動的な感情の発露は、脳の中でも感情をコントロールする大脳皮質の働きが弱いことが原因のひとつとされています。そのため、不意に湧き起こった感情を現在の状況に合わせて適切に制御することができず、ほんの些細なことでも烈火のごとく怒りだしたり、場の空気を読まずに大声で笑いだしたりしてしまうことがあるのです。こうした衝動的な感情の発露は成長し、さまざまな経験を重ねるなかで、次第に影を潜めることがほとんどですが、まれに大人になってもそうした傾向がおさまらない人もいるようです。

 感情の起伏が激しく、それが表情や態度にも出てしまっているときには、一度冷静になって自分を見つめ直すクールダウンの時間を設けるといいでしょう。落ち着ける場所に連れて行って気持ちが静まるのを待つ、お茶を淹れてひと休みするなど、気分を変えて原因を尋ねてみることです。

 感情を抑えるのは誰でも簡単にできることではありません。それが強い感情であればなおのこと。周囲に迷惑をかけない程度であれば、多少は大目に見ることも大切です。