せっかちな人が些細なことでイラッとしてしまうのは、「周囲の人と時間の感じ方が違う」からだと考えられています。自分は普通で、周りの人たちがノロノロしていると感じているため、そのせいで自分のペースが乱されることにイライラしてしまうのです。特に仕事が立て込んで忙しいときなどは、相手が電話に出るのが遅い、メールの返信がなかなか来ないといった、ほんの些細なことでも腹を立ててしまうことも少なくありません。
このようにせっかちな人とうまく付き合っていくには、相手のペースを理解し、それに合わせることが一番です。たとえば待ち合わせは時間ピッタリに着くのではなく、10分ほど早めの到着を心がける。少し長くなりそうな話は先に結論を話し、途中の経緯や詳細は一旦後回しにする、といった具合。いずれもちょっとしたことですが、こうした工夫ひとつで相手を苛立たせることなく、互いに良好な関係性を保つことができるのです。また、せっかちな人のペースに自身をフィットさせていくことで、無駄を省いた思考や行動、フットワークの軽さといったよい一面が自然と身につくメリットもあります。
喜怒哀楽に乏しい人
表情に出なくても無感情じゃない
発達障害の特性を持っている人によく見られる傾向のひとつに、喜怒哀楽などの感情の起伏が表情に表れにくいことが挙げられます。その理由にはさまざまな説がありますが、脳の神経細胞のひとつである「ミラーニューロン」の働きが弱いという説が有力なようです。
この「ミラーニューロン」は別名“モノマネ細胞”とも呼ばれていて、主に他者の行動を観察し、それを自身も追体験しているような反応、共感をする役割を担っています。そのため「ミラーニューロン」の発達が十分でないと、相手の感情を読みとることができず、自身の感情を表すこともうまくできないのです。こうした傾向は発達障害のなかでも自閉スペクトラム症(ASD)の人に多く見られ、他者とのコミュニケーションに苦手意識を持っている人も少なくないそうです。
こうした傾向のある人と接する際に特に注意したいのが、感情が態度や表情に出にくいだけで、決して無感情ではないということ。一見、表情の変化は乏しくても、心の中は定型発達の人と同様にさまざまなことを感じているので、それを汲みとり、共感を示すことが大切です。相手の感情を読むのが苦手な人でも、ちょっと大げさに身振り手振りを加えてわかりやすく示せば、気持ちはきちんと伝わります。職場などで周囲の目が気になるときはメールなどを活用してみましょう。顔の表情だけがコミュニケーションの手段ではないのです。