例えば、

・笛は強弱と長さを使い分ける。悪意はなく不用意にしてしまっただけのファウルには、ダメだというニュアンスで、ピッと(短く)吹く。警告の対象となるようなファウルには、絶対ダメという意味を込めて、「ピーッ!」や「ピ、ピーッ!」と強く、長く、吹く。

・言葉でファウルを未然に防ぐ。悪質なファウルをした選手には、初回は本人だけに聞こえるように「今のプレーは危ないよ」「相手の安全を考えた?」などと伝える。2回目は、周りの選手にも分かるように、「気を付けて。さっきもやっていますからね」と再度注意する。3回目は笛を強く、長く吹き、「次にやったらイエローですよ」と大きな声で注意する。

 これらを現場に置き換えて考えてみると、上司が問題行動を起こしたメンバーに対して教育的に接していく方法がイメージできるはずだ。基準を明確に段階ごとに区別して表現し、個人だけでなく周囲にも働きかけ、はじめは教育的に、徐々に懲罰的に接していくのである。

 このような適切な介入があれば、従業員は問題行為をエスカレートさせることなく、自分の判断でそれを止めることができるようになる。教育的指導と周囲の巻き込みを上手に運用することで、健全な組織運営ができる可能性が大きく高まるだろう。

(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山 進、構成/ライター 奥田由意)