ジャイアンツファンがSNSで自分の仲間たちの投稿を監視をして、注意をしてくれれば誹謗中傷は間違いなく減少するだろう。こういうマナーを重んじるムードが強まれば、これまでは感情のまま、チームや選手に対して誹謗中傷をしていて熱狂的なファンたちも襟を正さざるを得ない。

 これまでスポーツファンにとってなんのメリットもない「誹謗中傷対策」が、「競争」の視点を入れたことで、ファンの団結力・チーム愛をはかるエンタメとして成立させられるのだ。

 もちろん、阪神ファンが巨人の選手を誹謗中傷するパターンもあるので、どのチームのファンによる誹謗中傷なのかという判断には注意が必要だ。そして、広い世の中には「敵チームのランキングを落とすために、敵のファンになりすまして誹謗中傷しよう」なんて愚かな人も一定数いるだろう。しかし、これまでのように「誹謗中傷はやってはいけません」という「禁止」の呼びかけ一辺倒の対策よりもかなり効果があるのではないか。

 ちなみに、このシステムはオリンピックにこそ導入すべきだと思っている。

 例えば、アスリートへ向けられる誹謗中傷を言語や発信国ごとに比較をして、どこの国民が最も多かったのか、そしてどこの国民が少なかったのかを公表する。そして、最も誹謗中傷が少ない国には「素晴らしい観客賞」としてメダルを出すようにすれば、各国が威信をかけて誹謗中傷対策に取り組むはずだ。

 ナショナリズム丸出しで自国や他国のアスリートを罵倒するということが、いかに愚かで不毛なことなのかという「常識」が、このシステムで世界中に広まっていく。「スポーツで世界平和を実現する」という五輪精神的にもピッタリではないか。