石破さんとはテレビ番組などでご一緒する機会があり、しかもバチバチの報道番組だけでなく、お酒を飲みながら語る番組でもよくお話をしました。
石破さんの政治資金の扱いについていくつか突っ込んだ質問をさせていただきましたけど、透明化はしっかりされているようでした。政治には一定おカネがかかるので、企業・団体献金が必要だという意見には賛同できませんでしたけどね。
カネやポストの分配を
拒否すれば政界では嫌われる
橋下 永田町の国会議員の世界で人間関係をしっかり構築しないということは、仲間を増やすためにおカネを使わないということを意味します。そうなるとおカネの流れはきれいに透明化できるのですが、反対に人が寄ってこない。
また石破さんは派閥のボスになったときにも、仲間に重要ポストを回すことに力を割かなかったようです。「だから俺は嫌われるんだ」とご自身もおっしゃっていましたけど。カネも渡さない、ポストも回さないとなれば、カネとポストがモノを言う永田町の世界では嫌われますよね。
この点、政治の世界における僕の嫌われ方と、石破さんの嫌われ方はちょっと似ているかもしれません(笑)。義理人情や、カネや飲食を通じての信頼関係にはこだわらず、論理と理屈でゴリゴリの政治をやるから、今の政治の世界では仲間が増えない。
カネやポストの分配を拒否するというのは、国民全体から拍手喝采を受けても、政治の世界では嫌われることなんです。
――派閥に属していない、不透明なカネの授受に関与していない経歴は、古い政治においては弱点だったけど、今後はそれが「カネにクリーン」である証明になり、強みになる。
橋下 日本の政界の約3割は、いわゆる「2世・3世議員」です。父親や祖父、親戚の地盤を受け継ぎ、選挙に出馬していく彼ら彼女らは、「あの政治家の息子(娘、孫)なら信用できるだろう」と恵まれた条件を享受して政治家人生をスタートさせていきます。
そうしたなかで、確かに石破さんも2世議員ではありますが、石破さんに聞いたところ、石破さんは親から政治資金を引き継いでいないらしいです。ここは2世議員であったとしても評価されるところですね。
もちろん2世、3世議員でなければ政治資金の引き継ぎなどないことが当然のことなので、他の政治家と比べて取り立てて評価するほどのことではないですけどね。