橋下 国民は与党の政策ではなく、与党政治家たちの態度振る舞い、特にカネの扱い方がどうしようもなく気に食わないんです。

 その意味では、自民党からカネの扱いの透明化を徹底的にはかる人物が出てくれば、自民党は復活するかもしれませんよね。「旧態依然とした自民党体質を根本から変える!」と宣言し、実際に断行できそうな人物が現れれば、有権者は必ずしも「政権交代」を選ばないでしょう。

 自民党にしても、ここまで政権維持が危うくなってくると、そういう改革派の人物を自民党の顔として、「改革を断行できる党」という印象を内外に示すかもしれません。自民党はしたたかですから(笑)。

――たとえば、頭に思い浮かぶ政治家として、誰がいますか。

橋下 正直ここは分からないところですが、ほかの政策は横に置いたとして、政治とカネの問題に限って言えば、そこに切り込んでくれるイメージがまだあるのはたとえば石破茂さんとか、あとは有権者から人気のある河野太郎さん、小泉進次郎さんとか。

 もちろん彼らの政策や主張を吟味したわけではありませんし、それぞれの政治資金の流れも細かく把握していませんから、あくまでパッと頭に思い浮かぶまま列挙しましたが……。

 野党には思い付く人はいませんね。

 ここは細かく吟味するというよりも、国民全体に人気がある人を据えて、無党派層の票も取っていける人がリーダーに向いているんでしょう。

若手のエネルギーが注入されていない
日本の政治に国民は魅力を感じない

橋下 さらに僕は、ここに挙げたような知名度も経験もある政治家よりも、若手政治家の台頭に期待したいところです。昭和時代の政治の方法論を体験していない、まっさらな気持ちで政治を目指す若者たちが、もっとどんどん増えてほしい。

 いきなりリーダーになるのは困難かもしれませんが、それでも世界では国家のリーダーとして30代、40代の人物がどんどん出てきています。

 若手議員は経験がないと言われるけれど、経験はしてみないと積み重なっていきません。「経験が浅いから」と、重鎮たちがずっと政治の表舞台にふんぞり返っていては、いつまでたっても若手は経験が積めないままです。