橋下 そして「経験」と言えば聞こえはいいけれど、それは「慣例に染まる」ことでもあるわけです。「先輩たちがやってきたことを見て、同じようにする」のが「経験」だとしたら、まさに今、その政治家とカネの「経験」の部分がどうしようもなく行き詰まっているわけだから、ここは永田町の「経験」や「慣習」に染まっていない若手に、日本の未来の政治を担ってもらいたい。

 だから僕は政治家にはきっちりと任期を設けて、どんどん世代交代していくシステムを構築したかった。実際、大阪維新で僕は範を示したつもりです。早々と引退して無責任だと言う人もいますが、後を継いだ吉村知事や横山市長は立派にやっているじゃないですか。

 僕らは若手や現役が困っているときや、これはまずいんじゃないの?というときに、助言やサポートをする役割だと考えています。

 もしベテランがそのまま政治家として残るのであれば、それこそ自らは黒子、裏方に回って若手をしっかりと支えればいいじゃないですか。若手のエネルギーとベテランの知恵と経験が合わさることによって、停滞した政治を大きく動かす原動力になるのだと思います。

 今の日本の政治に国民が魅力を感じないのは、若手のエネルギーが注入されていないという一点に尽きると思う。

永田町での人間関係が
下手な人ほど国民人気がある

――「政界の常識」を、どこよりも保ち、強化してきたのが「派閥」だとすれば、派閥に属してこなかった亜流こそが、今となっては力を持つ可能性もあります。

橋下 まあ石破さんもかつては派閥を持ち、河野さんも麻生派に属していますが、なんとなく永田町での人間関係をうまくやっているようには見えません。

 僕も政治家としての人間関係の構築はからっきしダメで、そこは松井一郎さんにすべて委ねていました。小泉進次郎さんもかつてはそんな雰囲気でしたが、今は人間関係構築に努力しているような気がします。

 結局、議院内閣制の国政においては、国会議員の支持を得なければリーダーになれないので、いやでも国会議員同士の人間関係を構築せざるを得ないのが可哀そうなところですね。知事、市長などの首長は、最後は有権者から直接の支持があれば何とかなりますから。

 このように永田町での人間関係をうまくやっていない人が、結構国民から人気が出るんですよね。まさに国民が永田町の臭いを嫌がっている証です。