「いい顔」になれないなら
その仕事は不向きである

 私は著述業の傍ら、取材目的で多くの人に対してインタビューを行っています。その際に、可能であれば事前にその人の顔を見るように心がけています。商売をしている人のケースでは顧客として店を訪問する、その人が話すセミナーに参加するなどです。私自身が「いい顔」だと思える人かどうかを確認しているのです。

 これは私個人の経験則的なものですが、私が「いい顔」と思える人物に話を聞くと、ヒントが得られることが多く、私が求めている人を新たに紹介してくれるケースも少なくありません。また対話の中でも刺激を受けてモチベーションが湧いてくるのです。

 誤解しないでいただきたいのですが、決して顔の造作が整った美男美女を求めているわけではありません。あくまで自分にとっての印象の話であり、主観的な相性なのです。当然ながら 「いい顔」と感じる人やそのレベルは人によって異なっていると思います。

 逆に言えば、自分がいま「いい顔」をしているかどうかは、人生において非常に大切なポイントです。ビジネスパーソンとして充実した日々を送り、ワーク・ライフ・バランスにも一定の満足感が得られているなら、その人はきっと“いい顔”をしているに違いありません。
 
 本稿をお読みの皆さんはぜひ、若い頃の自分の写真と、現在の顔と見比べてみてください。年月を経たことによる、成長や老いが見られるのは当然として、いまの自分がどのような表情をしているのか評価してみるのです。

 仮に「あまりいい顔をしていないな」とか「なんだか人相が暗くなった感じがする」などと感じるのであれば、いまの仕事は向いていないのかもしれません。あるいは、仕事に大きな不満はなくても、公私のバランスが適切ではないのかもしれません。

 一日で自分の顔を見る機会を聞いてみると、男性では、「1回か2回、一瞬だけ」という人も少なくありません。一度立ち止まって、自分の顔つきや表情を定期的に観察してみるのもよいかもしれません。 

(構成/フリーライター 友清 哲)