「静かで控えめ」は賢者の戦略──。そう説くのは、台湾出身、超内向型でありながら超外向型社会アメリカで成功を収めたジル・チャンだ。同氏による世界的ベストセラー『「静かな人」の戦略書』は、聞く力、気配り、謙虚、冷静、観察眼など、内向的な人が持つ特有の能力の秘密を解き明かしている。騒がしい世の中で静かな人がその潜在能力を最大限に発揮する方法とは? 同書の著者に秘訣を教えてもらった。(構成/ダイヤモンド社・佐藤 里咲)
Q.急な出来事にうまく対応するには?
――『「静かな人」の戦略書』では、仕事やプレゼンで急に質問をされるなど、不意打ちで何かが起こった際も、慌てずに落ち着いて対処するようアドバイスされています。私はこうしたことがあるとどうしても慌ててしまうのですが、普段からどのような準備をしておくのがよいでしょうか?
試行錯誤を重ねて、対応力をつける
ジル・チャン氏(以下、チャン氏) 不意打ちの出来事にうまく対応することは、とても難しいことですよね。私もその気持ちがよくわかります。
けれど、すべての「不意打ち」に準備をすることは不可能です。
試行錯誤をしたうえで失敗し、そこから学んでいくことが、次の失敗を起こさないようにする唯一の方法だと思っています。
失敗したときに、ああすればよかった、こうすればよかったと後悔することはたくさんありますよね。
けれど、人生に失敗はつきものです。何もかもにおいて対策を考えておくことはできないので、なんでもできる準備は最大限しつつも、あとは開き直って取り組むというのがいいと思いますよ。
失敗することも、そこから学ぶことができるということを自分に言い聞かせることも大切だと思います。
アメリカの小学校の「ちょっとした工夫」
チャン氏 東アジアの文化では、失敗やミスを認めない部分がありますよね。私が学生生活を経験したアメリカとその部分で大きな違いがあることに気づきました。
地域や学校によって違いはありますが、アメリカの小学校で宿題と同時に配布されるプリントには、失敗を次に生かすための工夫がされていたりするんです。
具体的には、プリントが一本の線で右と左に分かれているんです。左側には、自分が間違えたことを書くんです。そして右側には、その間違いから学んだことを書きます。
つまり、自分の失敗は今後の学びになるということを気づかせるんです。
このような教育を小さなころから行うことで、どんな失敗やミスであっても前に進むためのアドバンテージになるということを教訓として学ぶことができるんです。
メンタル強者は「失敗も学びだ」と割り切る
チャン氏 私は台湾出身で、失敗を嫌う文化の中で育ってきました。それもあって、失敗を自分の中で認めてあげることは苦手です。
しかし、メンタルの強い人は「これもいい勉強だった」とパッと切り替えて前に進んでいきます。
私も、失敗に対してできるだけオープンマインドになって、「失敗は怖くない」「仮に失敗しても、学ぶことができる」と、自分自身に言い聞かせるようにしています。
※本記事は、『「静かな人」の戦略書』の著者に話をうかがったものです。