「母は『1人目(兄)は準備期間が短くてダメだったから、あなたは一番早くから塾に入れたのに、結局ダメだった。もし3人目、私の下に弟か妹がいたら、読み書き、そろばん以外はやらせない』と私に言った。基礎だけを徹底させるという意味です。そのときの私は本当に計算問題のケアレスミスがあって、塾の先生たちからも『ミスさえなければもっと点数は上がるんですけどね』と言われていたのを今でも覚えています。つまり、基礎がないうちにあれこれ詰め込もうとしても何も積み上がらないということ。

 自分自身を振り返ってみて、本当にその通りだと思いました。そのときの一言がいつまでも私の胸に突き刺さり、実際に自分が子育てをするときには、当時を思い出しては、子どもたちには私と同じ思いをさせたくないという気持ちがいっそう強くなりました」

 中学受験の失敗は、母との確執を深めるきっかけとなったが、それまでも母とは小さな“すれ違い”が日常生活の中でよくあった。

 例えば、小学生の頃、「勉強をしなさい」と言われた後、母の日だったことを思い出し、お小遣いで買ってあったエプロンをプレゼントした。

 ところが、母はE子さんが自分の言うことを聞かないのが気に食わなかったのか、プレゼントの中身も見ないで「こんなものいらない」と、その場でゴミ箱に捨ててしまった。