今回で言えば、茂木敏充氏が掲げた「政策活動費の廃止」がこれにあたる。先に出馬を表明した小林鷹之氏も「党近代化実行本部」を立ち上げて、政策活動費の使いみちを毎年公開していくと表明していたが、これを完全に潰した形だ。

 ただ、これらは先ほど述べたように「選挙公約」ではないので、そこまで律儀に実現する必要がない。最悪、金融所得課税のように「今すぐやるわけではない」「じっくり時間をかけて議論したい」などとウヤムヤにできてしまう。

 もちろん、それは票を投じる自民党議員や党員もよくわかっているので、シラけている人も多い。つまり、このイメージ戦略はメディア的にはまあまあ盛り上がる題材ではあるのだが、実際に勝敗を分けるほどの「決定打」ではないのだ。

 では、議員票や党員票にダイレクトに関わってくるものは何かというと、2の〈前任者と真逆のキャラクター〉である。なぜかというと、この後に控える「国政選挙」に大きく関わってくるからだ。

 部外者の一般国民からすれば、自民党総裁選というのは新しいリーダーを選ぶことだと思っているが、実は内部的には「選挙に勝てる“顔”選び」という目的の意味合いの方が強い。どんなにリーダーシップがあっても、優秀で政策通であっても、選挙に負けるような総裁では意味がないのだ。野党に下野すれば、憲法改正も安全保障もへったくれもない。自民党がさまざまな政策を実現できるのは「与党」であり続けているからだ。