一方でマイナス面は、フェイスブックには自分たちが拡散を手助けする広告主の投稿が、正確な情報に基づくものかを配慮する自発的な動機がない点だ。目的はただクリックさせること。クリック数を稼ぐためなら、むしろ投稿がセンセーショナルなほうが効果は高い。

SNSをたくさん更新する人ほど「リアルは不幸」!?『スマホ断ち 30日でスマホ依存から抜け出す方法』(キャサリン・プライス著、笹田もと子訳、角川新書)

 最後になるが、SNSの真の目的を理解することには、もうひとつ重要な意義がある。広告を届ける相手の絞りこみや、個人の過去の行動にあわせて広告を出すという手法の影響が、社会全体に及んでいるからだ。

 つまりフェイスブックは、こうしたターゲット広告(この場合はニュース記事を装ったもの)を、もっともクリックしてくれそうな人、シェアしてくれそうな人に表示できる。

 先ほどの話とこの機能を考えあわせれば、自分のニュースフィードに表示される記事と、他人のフィードに並ぶ記事とがまったく異なるという状況が生まれることになる――しかもそのどれもが、たとえ一片でも真実を伝えているのかという観点で確認を受けたわけではないものだ。そうした状況が増えるにつれて、“真実”とは何かを、もはや分かちあえない社会を生みだしつつあるのかもしれない。