人類の脳機能を劣化させ
社会の活力を奪うスマホ

 2010年に出版された『ネット・バカ インターネットがわたしたちの脳にしていること』〔篠儀直子訳、青土社、2010年〕で、ジャーナリストの著者ニコラス・カーは次のように書いている。

タクシー運転手の脳をMRIでスキャン→非ドライバーとの「驚くべき違い」とは?『スマホ断ち 30日でスマホ依存から抜け出す方法』(キャサリン・プライス著、笹田もと子訳、角川新書)

「私たちの脳の回路をできるだけすばやく、かつ完全に配線しなおすメディアの開発に取りかかったなら、おそらく最終的には見た目も機能もインターネットに非常によく似たものになるだろう」

 私はそれをさらに一歩進めて、こう主張したい。

 人類の脳の回路を変化させるデバイスを開発しようと考えるなら、つねに注意散漫で孤立し、疲れ果てた人たちの社会をつくろうとするなら、人々の記憶力を低下させ、集中する力と深く思考する力を損なおうと思ったなら、共感力を減らし、自己陶酔の度合いを強め、一般的なマナーのあり方を変えたいのなら、最後に行き着くのはスマートフォンだ。