スマホを使う時間の大半は、じっくり考えて過ごしているわけではない。むしろ、ほんの数秒、数分といった単位で手に取ることが多い。

 もっと時間をかけるときでも、ひとつの行為に熱中しているわけではない。画面を次々にスワイプし、スクロールすることの繰り返しだ。

 ひとつのアプリ(ニュースやSNSなど)にとどまるときでも、集中するのはたいていほんのいっとき。ツイート(現在はポスト)やメッセージ、プロフィール、投稿といったものは、脳をそれぞれ別々の方向へと活性化させる。結局、私たちがしているのは、奥へと踏みこむことなく、アメンボのようにただ表面をかすめることだけだ。

 だからといって、スマホに対しておざなりな注意を向けているのではない。それどころか、完全に没頭している。それによって引き起こされるのは、矛盾する表現だが――きわめて集中した注意散漫状態だ。

 この状態を頻繁につづけると、単に持続性のある変化を脳に引き起こすだけではない。そうした変化が特に起きやすいのだという。