仕事「以外」のことを話す時間をつくってみる

 組織の体質を少しでも主体的、創造的にするために、ユーモアが受け入れられる環境に変えていこう
 とはいえ、いきなり面白い話をするのは無理である。まずは小さくでもユーモアや楽しさを許容する場を創ってみてはどうだろう。

 たとえば毎週行われている定例会議の最後5分間を「雑談タイム」「カジュアルタイム」などとし、数名のグループに分かれて雑談や日々あった面白かったことを共有する。公然と自分らしさを出してよい場、ユーモアを交えてよい場を小さく創ってみると、相互理解が進んだり、職場にユーモアを少しは持ち込んでもよい空気が生まれたりする。
「職場のコミュニケーションをよくするため」「メンタルコンディションをよくするため」などの大義名分を掲げれば受け入れられやすい。

ユーモアという個性がコミュニケーションを円滑にする

 あるいは日報や週報など、社内の定例報告の資料やドキュメントの最後の一項目に「最近あった面白い出来事」を入れてみるのもいい。

 これまた公然と自分らしさを出すことができて、ユーモラスなことを言ってもよい場として機能し得る。意外と面白がって真似して書いてくれる人や、イケる口(ユーモアを好む人)の人が見つかるかもしれない。そんな意外性のある発見と出会いは、職場をさらに面白くする。

 前述のアミューズメント系企業でも、筆者が講演スライドに引用したアニメの名言などに反応し「おっ、沢渡さんはその世代ですか……〇〇さんと一緒ですね」など、そこから雑談が生まれ、相互理解が生まれたこともある。ユーモアや個性はコミュニケーションを円滑にするのだ。 

一歩踏みだす!

・個性やユーモアを出してよい場を小さく創る
・定例会議の最後の5分や、日報・週報の一項目などで「最近、面白かったこと」を共有するのもおすすめ

(本稿は、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)

沢渡あまね(さわたり・あまね)
作家/企業顧問/ワークスタイル&組織開発/『組織変革Lab』『あいしずHR』『越境学習の聖地・浜松』主宰/あまねキャリア株式会社CEO/株式会社NOKIOO顧問/プロティアン・キャリア協会アンバサダー/DX白書2023有識者委員。日産自動車、NTTデータなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。『チームの生産性をあげる。』(ダイヤモンド社)、『職場の問題地図』(技術評論社)、『「推される部署」になろう』(インプレス)など著書多数。