リスクの専門家である保険会社が
なぜ、再保険を活用するのか?
「再保険を使って売り上げを増やせ!」
保険業界で働く多くの人にとって、直接的に関わる機会が少ないのが再保険。一般的に保険会社においては、主計部門や商品部門など特定の部門で働く社員のみが再保険業務に関与しており、自社が利用する再保険について熟知している社員は多くないのが実情だ。
それでも、ほとんどの社員は「再保険は再保険料を支払って再保険会社へリスクを移転させることが目的」と知っている。それでは再保険が売り上げに関係するとはどういうことか?
実は近年、保険会社にとって再保険の活用方法が変わってきている。今回はこれについてできるだけ平易な言葉で説明していきたい。
再保険の目的
再保険会社は、(元受け)保険会社にとっての保険会社といわれる。つまり、お客さまのリスクを引き受ける対価として保険料を収受するのが保険会社であり、そのリスクをさらに移転させる対価として再保険料を収受するのが再保険会社である。
昔から保険会社は再保険を活用してきた。特に巨額の保険契約を取り扱う損害保険会社では数多くの再保険契約を締結している。そこで疑問が生じるが、そもそもリスクの専門家を自認する保険会社が、なぜ再保険会社を活用してお客さまから預かったリスクを外部へ移転させる必要があるのか?
従来、再保険が使われてきた代表的な理由として、次ページに示した4つの理由が挙げられる。また、昨今では、生命保険会社のビジネスモデルの変化や規制改正に伴い、新たな再保険の活用法が積極的に検討されている。その3つの事例について解説していく。