「静かで控えめ」は賢者の戦略──。そう説くのは、台湾出身、超内向型でありながら超外向型社会アメリカで成功を収めたジル・チャンだ。同氏による世界的ベストセラー『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』は、聞く力、気配り、謙虚、冷静、観察眼など、内向的な人が持つ特有の能力の秘密を解き明かしている。騒がしい世の中で静かな人がその潜在能力を最大限に発揮する方法とは? 同書の著者に秘訣を教えてもらった。(構成/ダイヤモンド社・秋岡敬子)

目の前の相手が「口だけ」か「本当にできる人」か一発でわかるすごい質問Photo: Adobe Stock

Q.相手のありのままを見るには?

――私は就職活動をしていたときに、企業に「外向型」であることを多く求められたように感じています。これからの就職活動において、学生のありのままの姿を見るために、企業はどういう点で評価することが重要だと思いますか?

話がうまいだけかもしれない

ジル・チャン氏(以下、チャン氏) 私は自分が所属している会社で誰かを雇用する際に、その人の能力を見極める評価分野が3つあります。

どれくらい状況に応じて学習し、対応できるか?
限られたリソースの中で解決策をどう見つけられるか?
独創性とレジリエンス(精神的回復力)を持っているか?

 私自身の就職活動の経験から言うと、アジアでもアメリカでも、企業が人を雇用する際は、非常に面接を重視しています。面接なしで採用を決めることはありません。

 面接では、自分の考えをまとめ、限られた時間で思いを伝える能力が求められます。

 しかし、独創性や限られたリソースの中で解決策を見つける能力は、面接だけで測ることはできません。いくら面接で優秀に見えても、面接上手やプレゼンがうまいだけの人かもしれません。

「この質問」をすればいい

チャン氏 そこで昨今では、優秀な人材を採用するため、面接に加えて課題を課す企業が増えています。

 たとえば応募者に対して、なんらかのプロジェクトの概要を示し、次のような質問をするんです。

「この概要を読んだうえで、あなたならどんなアイデアを提案しますか?」

 提案には、3日程度の猶予を設けてもいいと思います。応募者には、提案に必要な基礎データも渡します。

 そうすることで、「足りない情報をどう収集するか?」「データをどう分析するか?」「少ないリソースでどう対応するか?」といった包括的なスキルを評価することができます。

 これらは働くうえでとても大事な能力ですが、面接だけでは見抜けません。しかし、課題を入念に設計して「具体的なアイデア」を聞けば、一目瞭然でその人の実力がつかめるはずです。

※本記事は、『「静かな人」の戦略書』の著者に話をうかがったものです。