この固有周期は、建物の高さとほぼ比例しており、具体的には建物の階数に0.1秒をかけた数字が、固有周期の目安になる。たとえば10階建てでは1秒が固有周期となるので、周期1秒の揺れがやってきたら最もよく揺れる(下図)。

建物の高さと固有周期の関係建物の高さと固有周期の関係 同書より転載 拡大画像表示

 数階建ての建物の固有周期はおおむね1秒以下だが、首都圏など大都市にある高さ100メートル以上の高層建築物の固有周期は、数秒以上になる。したがって、遠くからやってくる長周期のゆらゆらした地震に対して、特異的に反応するのである。

700キロ離れた大阪にも届く
長周期地震動の破壊力とは?

 こうした長周期地震動はM9.0の東日本大震災の際にも起きた。周期2秒以上のゆっくりとした揺れが遠方で予想外の被害をもたらしたのである。最大震度5強を観測した東京都心では、超高層ビルがしなるように大きく揺れた。内部の家具が60センチメートル動いて転倒し、高い階ほど大きな被害が出た。

 また、震源から700キロメートル離れた大阪府の咲洲庁舎では、エレベーターと内装材に被害が出た。ここでは震度3の揺れにもかかわらず55階建てのビルが共振しゆらゆらと揺れ続け、最上階は2.7メートルほど横に10分ものあいだ揺れ続けた。