2024年6月16日~22日、ハーバードビジネススクールの教員33人が研修旅行で日本を訪れた。日本企業を題材に教材を執筆したこともあるアシュリー・ウィランズ准教授は、日本のスタートアップ企業に高い関心を持っていた。そんなウィランズ氏が今回、日本のスタートアップを訪問し、驚いたこととは。また、来日時に感動した「日本の食」と印象に残った体験についても話を聞いた。(取材・構成/作家・コンサルタント 佐藤智恵)
ハーバードの教員が
日本のスタートアップに興味を持った理由
私が今回、日本での教員研修に参加したのは、今後、日本企業の事例を取り上げた教材を書いていく上で、日本企業や日本文化への理解を深める良い機会になると考えたからです。
前回のインタビューでもお伝えしたとおり、私はハーバードビジネススクールの選択科目「モチベーションとインセンティブ」で日本のベンチャー企業Spiber(スパイバー)の事例を教えています。この事例は毎回、学生からとても評判が良いので、いつか他の日本企業についても「ピープルマネジメント」の観点から研究して、教材を書きたいと思っていました。
訪日前、特に興味を持っていたのは、日本のスタートアップ企業。一般的に規律や協調性が重視される「タイトな文化」を持つ日本企業には異論を言いづらい雰囲気がありますし、社員は周りの人からどう見られているかを気にする傾向があります。こうした日本の伝統的な慣習の中で、スタートアップ企業がどのようにイノベーションを創出しているのか、関心がありました。
「能楽」の舞台を鑑賞
伝統を受け継いできたシステムに感銘
また大学時代から日本の伝統芸能に関心を抱いていたことも、参加への強い動機となりました。私は10代から俳優として活動していたこともあり(注:映画『JUNO/ジュノ』などに出演)、大学時代は芸術学を専攻し、主に舞台芸術を学びました。
その中で「能楽」についても学ぶ授業があり、期末レポートも「能楽」をテーマに書きました。ですから、研修プログラムの旅程に「能楽」の鑑賞が入っていたのを見つけたときは、本当にうれしかったです。