「教師として言ってはいけない一言です。担任はあなたなのだから、自分でどうにかしなさい」

 自分だけでなく、問題行動がある子を含めた子どもたちみんなが見捨てられたと感じた。

日本の教育現場に募る不信感
スキルが生かせる国・カナダへ

 自分なりにがんばったが、年度途中で市の教育委員会から「指導力不足」と判断されて、一時現場から外された。教育委員会から直接、事情を聴かれたことは一度もなかったという。

「わたしの経験やスキルの不足もあったと思う。でも、失敗した人を助けずに、自己責任だと言って排除するような教育現場でいいのでしょうか」

 教育現場への不信感が募った。こんなにつらい環境にいる先生たちの姿を、子どもはどう見ているだろうか。「もし自分が子育てするなら違う国でしたい」と考え、日本を出ることに決めた。

「わたしからしたら日本社会から抹殺されかけたので日本を出たという感覚です」

 海外での永住も視野に、教員や保育士資格など自分が持つスキルを生かして働ける国として選んだのがカナダだ。

 カナダでも保育士は人手不足が深刻で、就職先を見つけやすい。バンクーバーにあるカナダへの留学や移住を支援する企業「COS」は、保育士の留学・就職支援サービス「ホイクペディア」を展開する。カナダでも保育士は人手不足が深刻で、就職先を見つけやすい。藤井佑耶(ゆうや)社長は「カナダは移民の受け入れに積極的で、保育士は永住権の取得で優遇されている。永住の手段として保育士を考える人も多い」と話す。