河合雅司 著
自動運転のバスを走らせるのには新規のバス購入に加え、システムのメンテナンス費用もかかる。これらを誰が負担するのか。
目先の対策として、地方自治体の中にはバス会社への補助金額を増やしたり、自前でコミュニティーバスの運行を始めたりするところが少なくないが、利用者数が長期的に減少していくことを考えると、こうした手法もずっと続けられるわけではない。税金投入で公共交通網を何とか維持してきた時代は終わった。
もはや「毛細血管」である路線バスをすべて残すことは難しい。政策を講じるにしても、メリハリをつけるしかないだろう。
人口が激減していく社会において路線バスをどこまで走らせればよいのか、取捨選択をしていかなければならない段階に入ってきた。例えば、人口が激減するエリアでは、人々が住んでいるところにバスを走らせるのではなく、残すと決めたバス路線沿いに住民のほうが集まり住むようにするといった、「180度の発想の転換」が必要となりそうだ。