公共交通網を税金投入で
維持する時代は終わった
バス運転手の不足に対してはさまざまな対策が始まっているが、いずれも決め手に欠く。政府内では外国人の活用を検討しているが、日本のような左側通行の国ばかりではない。慣れるには時間がかかるだろう。バス運転手は乗客対応も必要で、言葉の壁も問題となる。
東京23区などでは、利用者の事前予約に基づいて運行やルートやダイヤを決める「デマンド交通」の導入に向けた動きが広がっている。
路線バスが通れないような狭い道を走行するため、車種はタクシーやワゴン車を使用するのが一般的だが、これでは路線バスのように大量に人を運べず、運賃を少し高めに設定したとしても黒字化は難しい。このため実験段階で断念するケースが少なくない。
東京都は西新宿エリアで期間限定で自動運転バスの試行運転を行った。岐阜市も2023年11月25日から岐阜駅から市役所までのルートなど中心市街地で自動運転バスの5年間の継続運行を始めたが、自動運転も問題の根本解決にはならない。
そもそも、人が運転するバスと遜色ない存在となるには、まだ乗り越えなければならない技術的課題がたくさん残っている。仮に自動運転の技術が短期間で飛躍的に向上することがあったとしても、過疎化が急加速で進行する地域にまで普及させるには膨大な予算とマンパワーを要する。路線バスが縮小に追い込まれている根本原因は人口減少による利用者不足であり、運転手不足は2次的な理由だ。