今後増える高齢者の6割は東京圏と推計されている。75歳以上の激増が予測される東京圏の郊外でバス路線が廃止・大幅減便となり外出率が下落したならば、東京圏の鉄道各社の経営に大きな打撃となる。
バス運賃だけでなく鉄道も値上げせざるを得ない方向へと進むだろう。年金生活の高齢者の外出率をさらに下げることとなる。人口減少社会とは大都市の郊外も含めて全国各地に“陸の孤島”が広がる社会ということである。
路線バスの縮小は、赤字ローカル鉄道の廃止スケジュールにも影響を及ぼす。
鉄道会社と沿線自治体、観光業者などが国の関与のもとで話し合う「再構築協議会」制度がスタートしたが、鉄道を廃止した後の代替輸送の最有力手段として考えられてきたのが路線バスだからだ。バスに転換しても「同じ結論」となれば、赤字ローカル鉄道の廃線に向けた話し合いは暗礁に乗り上げかねない。
そうなれば、大都市圏の住民も無関係とは行かなくなる。JR各社のローカル鉄道の赤字分は、新幹線や大都市圏を走る通勤電車などの利益で補充されているためだ。大都市の通勤電車運賃のさらなる値上げにつながりかねない。