高齢者のじつに4人に1人が「買い物難民化」しつつある日本。マイカー文化の終焉や地域からのスーパーの撤退、さまざまな要因が重なり70~80代の高齢者の「食」をめぐる環境は日に日に悪化の一途を辿っている。「人生100年時代」に突入した人口減少社会・日本のリアルに迫る。※本稿は、河合雅司『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』(小学館新書)の一部を抜粋・編集したものです。
高齢者の4人に1人が
「買い物難民」時代に突入
日本崩壊の予兆で最も見逃すことのできない「食」への影響だが、食料品が消費者の手元に届かないという状況が広がりを見せている。「買い物難民」の増加だ。
農林水産省の農林水産政策研究所が、店舗まで500メートル以上かつ自動車利用困難な65歳以上の高齢者を「食料品アクセス困難人口」と定義し、2020年国勢調査などのデータを基に分析した結果、該当者は904万3000人にのぼった。900万人を突破したのは初めてだ。
高齢者人口に占める割合は25.6%であった。高齢者の4人に1人が、食料品の購入が困難な「買い物難民」という異常な社会がすでに到来しているのである。
前回の推計(2015年)とは集計方法が一部異なるためデータに連続性はないのだが、単純に比較するならば9.7%増だ。社人研(編集部注/国立社会保障・人口問題研究所)の将来人口推計は高齢者数のピークを2043年としており、買い物難民は今後も拡大を続けるものとみられる。