●放火犯の分類
○性的興奮を得るための放火
自分でつけた火を注視することによって、性的な快感を得るタイプ。マスターベーション直後に火をつけたくなるなどの性的逸脱がある。この種の性的逸脱を「ピロマニア」と呼ぶが、日本ではほとんど報告がない。
○復讐のための放火
恨みのある相手に対する復讐として放火を行うタイプ。実際に人間関係のある人物への復讐だけでなく、「金持ち」や「学校」、「社会」などの抽象的なカテゴリーに対する復讐のために放火がなされる場合もある。
○利得のための放火
火災保険金などを得ることを目的として放火を行う。
○テロに関連した放火
政治的・宗教的なテロによる破壊活動として放火が使用されるもの。政府や政党の建物、警察、皇居、宗教施設、企業、他国の大使館や施設、外国人学校など、背景となる思想によって攻撃対象が決まり、爆発物が使用される場合も多い。
○英雄志向による放火
自分で放火したあと、自ら消火し、警察や消防に連絡するなどして「ヒーロー」になることを目的としたタイプ。犯人の中には、消防官を志望している者や、すでに消防官である者、消防団に属している者もいる。
○うっぷん晴らしのための放火
日常生活でのいらいらや不満を解消するために放火を行うタイプ。「復讐のための放火」と違い、不満の原因とはまったく関連のないものに放火を行うのが特徴。放火犯の中ではもっとも多いタイプで、とくに連続放火犯に多い。
○犯罪組織と関連した放火
犯罪組織が脅しやトラブル介入のために放火をすることがあり、日本でも暴力団はこの種の放火をしばしば行う。
○他の犯罪の隠蔽のための放火
横領や窃盗、殺人などの証拠を隠滅するために放火を行うタイプ。窃盗目的で住居に侵入したものの、十分な成果が得られなかった犯人が、証拠の隠滅とうっぷん晴らしを兼ねて現場に放火するというケースもある。