4月は「仕事」や「将来」、を考える絶好の機会。この1月に『はじめての「投資信託」入門』を上梓したファイナンシャル・ジャーナリストの竹川美奈子さんと、『プレイングマネジャーの教科書』の著者で、人材マネジメント、キャリアアドバイスなどで有名な田島弓子さん特別対談が実現。このお二人が将来後悔しないための「キャリア」と「お金」の育て方を語ります。今回が最終回です!
将来のことは誰もわからない。
先行き不安でも心配しすぎないこと!
竹川 経済情勢に先行きの見えない不安を抱えている人は少なくありません。ですが、将来のことを心配し過ぎだな、と感じることもあります。投資をはじめるときもそうです。例えば「今は月3万円ずつ積立投資ができるけど、将来、結婚して子どもが生まれたら厳しいかもしれない」と、まだ投資をする前から心配する方もいます。
田島 確かに将来、自分の生活がどうなるかわからないですものね。
竹川 結婚して共働きの時は家計に比較的余裕があるので、多めの金額を積み立てればいいし、もし子どもが産まれてその積立額でキツければ、金額を減らせばいい。5年後、10年後のライフプランの変化に合わせて柔軟に見直しをしていけばいいと思うのです。
ブラマンテ株式会社代表取締役。 成蹊大学文学部卒。日本人材マネジメント協会会員。IT業界専門の展示会主催会社などにてマーケティングマネジャーを務めた後、1999年にマイクロソフト日本法人に転職。約8年間の在籍中、Windowsの営業およびマーケティングに一貫して従事。当時、営業・マーケティング部門では数少ない女性の営業部長を務める。在籍中、個人および自身が部長を務めた営業グループでプレジデント・アワードを2回受賞。2007年キャリアおよびコミュニケーション支援に関する事業を行うブラマンテ株式会社を設立。キャリアアドバイザーとして「若年層向け働き方論」「中間管理職向けビジネス・コミュニケーション」「女性活用支援~女性の中間管理職を増やす」の3つを軸に、コンサルティング、社員研修、セミナー、大学講義、執筆などの活動を行っている。著書に『プレイングマネジャーの教科書』『女子社員マネジメントの教科書』(ダイヤモンド社)、『働く女性28歳からの仕事のルール』(すばる舎)などがある。ブラマンテ株式会社 http://bramante.biz
田島 最初からガッチリと決めなくても大丈夫なんですね。
竹川 最近は様々なツールがあるので、例えば毎月3万円の積立投資をして、仮に3%で運用すると5年後、10年後にこのくらいの金額になるかはシミュレーションできます。けれど、実際は安定的にその通りに増えていくわけではありません。例えば、株式投資信託に投資すれば、短期的には価格は上がったり下がったりします。過去の値動きから、だいたいでいいので、自分の資産が「このくらいは上と下に動くのだな」ということはあらかじめイメージできているといいですね。そのときパーセントではなく、金額で考えるとイメージしやすいと思います。
田島 なるほど。10万円の5%なら5000円だけど、1000万円の5%だと50万円になりますからね。
竹川 例えば、リーマンショックのときには国内外の株式と債券に4分の1つず分散投資をしていたとしても、3割くらいは一時的に下がりました。例えば100万円投資していたら、短期的には約70万円まで減ってしまったわけですね。これに耐えられるかどうか、です。
自分が「経済的に」、そして「精神的に」どのくらいまで耐えられるかはイメージしておきたいですね。ただ、実際にやってみないとわからないこともあります。ですから、まずは少額から運用を始めてみて、「慣れる」ことも必要。机上で考えているだけではなく、実際にトライしてみることで「ここまで資産が増えたり、減ったりするのは耐えられない」と感じたら、投資する金額自体を減らしたり、もっと安定的な運用をしたり、いろいろ考えられます。
田島 確かに増えることはイメージするけど、減ることはあまり想像したくないですよね。
竹川 少しずつ慣れていき、「自分にとって続けやすい方法」を見つけていく。投資を始めたばかりの頃は、どうしても価格の変動が気になってしまう方もいます。ですが、それで仕事に支障をきたしては本末転倒です。本業はあくまで仕事ですから。ただ、その一方で、稼ぐ力には限りがあります。年齢を重ねるにしたがって、将来的に稼げる時間・お金は減っていきますから、リタイアまでに十分な金融資産をつくっていく必要があります。そこで、自分で稼ぐのはもちろんですが、お金にも「働いてもらう」ことも必要なんです。
田島 一発当てる訳じゃなくてね(笑)。
竹川 仕事も、お金も地道にコツコツです(笑)。そして、投資する金額や方法も、柔軟に修正しながら、自分に合った方法をみつけてほしい思います。