4月は「仕事」や「将来」を考える絶好の機会。この1月に『はじめての「投資信託」入門』を上梓したファイナンシャル・ジャーナリストの竹川美奈子さんと、『プレイングマネージャーの教科書』の著者で、人材マネジメント、キャリアアドバイスなどで有名な田島弓子さん特別対談が実現。それぞれの専門家であるおふたりに「キャリア」と「お金」について語ってもらった。

「投資」はギャンブルとは違うので
今からでは遅い…ということはない!

田島 今まで講演会などでお会いしたことはあったけど、対談は初めてですね。

竹川 田島さんは「キャリア」、私は「お金」というように分野が違うからでしょうね。どちらも「育てていく」という意味では似ている部分も多いと思いますが…。今日はそのあたりについてお話できるといいですね。

田島弓子(たじま・ゆみこ)
ブラマンテ株式会社代表取締役。 成蹊大学文学部卒。日本人材マネジメント協会会員。IT業界専門の展示会主催会社などにてマーケティングマネジャーを務めた後、1999年にマイクロソフト日本法人に転職。約8年間の在籍中、Windowsの営業およびマーケティングに一貫して従事。当時、営業・マーケティング部門では数少ない女性の営業部長を務める。在籍中、個人および自身が部長を務めた営業グループでプレジデント・アワードを2回受賞。2007年キャリアおよびコミュニケーション支援に関する事業を行うブラマンテ株式会社を設立。キャリアアドバイザーとして「若年層向け働き方論」「中間管理職向けビジネス・コミュニケーション」「女性活用支援~女性の中間管理職を増やす」の3つを軸に、コンサルティング、社員研修、セミナー、大学講義、執筆などの活動を行っている。著書に『プレイングマネジャーの教科書』『女子社員マネジメントの教科書』(ダイヤモンド社)、『働く女性28歳からの仕事のルール』(すばる舎)などがある。ブラマンテ株式会社 http://bramante.biz/

田島 よろしくおねがいします。昨年末からアベノミクスなどお金に関するトピックが盛り上がっているので、竹川さんはセミナーなどで忙しいんじゃないですか?

竹川 そうですね。セミナーは活況ですし、取材依頼なども増えています。ただ、気になるのは「今買うなら何がいいですか」「これから何が上がりますか」といった質問が多いこと。それって、「何が」「いつ」上がるのかを当てて、大きく儲けたいということですよね(笑)。
 たしかに「当てにいく投資」は大きな利益が得られることもありますが、仕事をしながら、個人が当て続けるのは現実的にはむずかしい…。当たったり外れたりであまりお金を増やすことできなかったり、夢中になりすぎて仕事に支障がでてしまうことも…。

田島 積極的に「儲けるぞ!」というのとは違う?

竹川 そうですね。著書でも触れていますが、私の提案しているのは、国際分散投資をして長期的にお金を育てていこうという考え方です。一発当てて儲けるぞ、ではなく(笑)。

田島 年齢層はどんな感じなんですか?

竹川 若い人の受講が増えていますね。公的年金不安もあったり、早めに始めておこうという人が多いようです。

田島 投資は今から始めても大丈夫なんですか? もう遅いんじゃないかと…

竹川 始めるタイミングはあまり気にしなくてもいいと思います。投資というと、相場の先を読んで、特定の地域や銘柄を選んで、売り買いのタイミングをはかるというイメージが強いと思います。でも、長期でじっくり資産形成をしていくという方法もあるよ、ということを知ってほしいんです。具体的には、投資する地域や対象、時間などを分散して、世界経済が拡大していく恩恵をじっくり受けるという方法です。

 それに、若い方はそれほどまとまったお金もないと思うので、少額でもいいから毎月コツコツ積み立て投資を始めてみるのもいいと思いますよ。たとえば、給与天引きで財形貯蓄をしていたり、銀行口座から自動引き落としで積立預金をしていたりする人は多いですよね。そこに積立投資も加えてみてはどうでしょう。ちょっと投資を加えることで、株式や為替など、日々の経済ニュースにも敏感になります。投資はギャンブルといった発想を変えていくことが大事です。

田島 確かに投資って危険なイメージがありますね。あとはちょっと面倒そうな感じ(笑)でも積み立てだったらできるかも…。

竹川 普通の人はそうですよね(笑)投資が大好きで、株の研究をしたり、データを分析したりすることが楽しくて、趣味のひとつのようになっている方は自由に自分のスタイルで投資を楽しめばいいと思います。
 一方、私が情報をお伝えしたいのは投資が仕事でも趣味でもない方、普通のビジネスマンやビジネスウーマンです。日々仕事をしたり、趣味を楽んだりしながら、資産形成をしていける方法もあるよ、と。