10年連続で算数オリンピック入賞者を輩出している彦根市発の知る人ぞ知る塾「りんご塾」。天才を生み出すそのユニークな教育メソッドを、塾長の田邉亨氏が初公開した書籍『10年連続、算数オリンピック入賞者を出した塾長が教える 「算数力」は小3までに育てなさい』(ダイヤモンド社刊)が、このたび発売になった。本書を抜粋しながら、家庭でも取り入れられるそのノウハウを紹介する。

【算数オリンピック入賞者輩出の塾長が語る】「勉強をもっとやりたい!」と子どもが自然に思ってしまうスケジュールの組み方Photo: Adobe Stock

「パズル」で通常の授業をサンドイッチ!

 りんご塾では、楽しく通ってもらうために、授業の前後にパズルや迷路などの「パズルタイム」を設けています。

 例えば80分間授業がある場合、こんな感じです。

【はじめの25~30分】天才パズル(楽しみながら脳を活性化)
【真ん中の30~35分】通常の算数の問題(進度に応じた先取り学習)
【おわりの15~20分】立体パズル(楽しみながら空間認識力を高める)

「もうちょっとやりたい」で終わらせるのがポイント

 最初の「天才パズル」は、ウォーミングアップのようなイメージです。頭の中をぐるんぐるん動かして、勉強モードの車輪を回していきます。

 そして、調子が出てきたところで通常の算数の問題を解いていきます。そして、最後に木製ブロックの「立体パズル」をやります。立体パズルは時間さえかければ必ずできるので、高揚感とともに塾を離れることになります。

 実際、うちの塾では立体パズルを解いたあとに、
 子ども「やったー! もう1問やる!」
 お母さん「ダメよ、もう時間だからおしまい」
 という攻防のあと、引きずられるようにして帰っていく光景を頻繁に目にします。

 せっかくやる気が出ているのに、そこで終わりにするのはもったいないように感じるかもしれませんが、実はこの「もうちょっとやりたい」で終わりにするのがポイントです。なぜならそのほうが、次に「続きをやろう」という気持ちが高まるから。

 これは心理学で「ツァイガルニック効果」と呼ばれるもので、終えてしまった事柄よりも中断した事柄のほうが記憶に残る心理現象を言います。

 りんご塾では、これを勉強に応用することで、塾に来るのが楽しみになるように工夫しています。

 これに対して、進学塾の授業は、易しい問題から始めて、だんだん難しくなっていき、最後に一番難しい応用問題を解かせるケースが多いですよね。

 先生が黒板に書いて説明してくれるのですが、難度が今日イチなので「なんか、わけわかんないわ」と、ちょっとしょんぼりしながら帰るということが起こります。そうすると、次に行くのも気が重くなるかもしれません。

 だから、ご家庭で勉強する場合も、例えば「天才パズル→宿題→必ず解けて達成感が得られるもの」という3段構えにすると、モチベーションアップにつながるのではないでしょうか。

 *本記事は、『10年連続、算数オリンピック入賞者を出した塾長が教える 「算数力」は小3までに育てなさい』(田邉亨著・ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。