AIは朝食に「鍋料理」を提案してきた

 中でもチームを悩ませたのが、朝食にお鍋を提案するAIの暴走(?)だった。

「今回私たちが採用したのは、『組合せ最適化手法』です。これは、複数の要素から最適な組み合わせを見つけ出す手法で、栄養バランス、調理時間、季節感などの条件を数式で定義し、それを満たす最適な献立を生成します。当初はその数式が良くなかったので、朝食に鍋が出てきてしまいました。しかし、朝食に鍋が出ないように修正すると、今度は『パンしか出ない』となって。朝食らしさを保ちながら多彩な献立を提案できるよう、調整を繰り返しました」(村田さん)

今後の成長の鍵は、パーソナライズか

 ユーザーからは、どのようなフィードバックが届いているのだろうか。勝美さんによれば、「2日連続で同じ汁物が提案された」というフィードバックがあったという。実際、一般家庭では同じ味噌汁が2日連続で出ることは珍しくない。むしろ、そういった現実的な提案を歓迎するユーザーもいる一方で、毎日違うメニューを期待する声もある。

「摂取できる栄養素の数値を見せないでほしい」という意見もあったという。数値を見せられると、「今日はあまり摂取できなかったな」と、かえってストレスを感じる人もいる。一方、アスリートなどは詳細な数値を求める傾向がある。改めて、ターゲットによって最適な情報の見せ方があることに気付かされたという。

 現在の「未来献立」は、共働きや子育て世帯向けに、食べやすく時短で作れるメニューを中心に提案している。しかし将来的には、アスリートを支える家庭、介護をしている家庭など、より多様なニーズへの対応も検討中だという。