メール、チャット、SNS、Web記事、ビジネス書など、私たちは日々多くの言葉に触れている。スマートフォンの登場により、それはより顕著になった。私たちは、常にスマートフォンの小さなスクリーンで延々と言葉を見ている。「そのせいで脳は疲れ果てている」と指摘するのは、全米25万部を超え、世界16か国以上で刊行の話題作『Simple「簡潔さ」は最強の戦略である』だ。著者である、ジム・バンデハイとマイク・アレン、ロイ・シュウォーツは、現在670万の定期購読を誇るデジタルメディア「アクシオス」の共同設立者である。彼らは本書で、「言葉をよりシンプルで、かつスマートにすべきである」と提唱している。本記事では、その理由について解説する。(文/神代裕子、ダイヤモンド社書籍オンライン編集部)
私たちの集中力が落ちる理由
多くの人が、スマートフォンの登場以降、集中力の低下を感じている。
著者である「アクシオス」の3人はこの状況を、「近年、分刻みで気を散らすものが爆発的に増えたせいで、余計に頭が混乱しているのだ」と指摘する。
情報量が爆発的に増えた現代の問題点
本書では、「この原因には大きく2つの根本的な原因がある」と述べている。
1つは、ここまでに語ってきたテクノロジーの発展。つまりインターネットとスマートフォンの登場だ。
そして、彼らはもう一つの問題点として、「人はメールや手紙、メモ、論文、記事、本などを、1980年と同じように書いている」ことを挙げる。
にもかかわらず、私たちは相変わらず昔と同じ数の言葉を吐き出している。あるいは、もっと多くの言葉を。何世代も前と同じ書き方をしているのだ。(P.6)
時代が変わったのだから、書き方も変えるべき、というわけだ。
「スマート・シンプル」で言葉を大幅に減らす
彼らは、この問題に対する解決策として、「人々が発し、消費する言葉を減らすように促すこと」を挙げる。しかも、大幅にだ。
この「スマート・シンプル」とは、情報を簡潔かつ効果的に伝える方法だ。
そのためには、次の4つの原則に則ることが重要になる。
記事のタイトルでも、メールの件名でも、SNSなどの競合から誰かの注意を引き離すには、短く強い語句が必要だ。(P.31)
最初の1文(=リード文)はもっとも印象的であること。相手の知らないこと、知りたいであろうこと、知るべきことを伝える。単刀直入に、短く、鋭い文にする。(P.31)
私たちが実際に詳しく知っていることはほんのわずかだ。(中略)
誰もが質問することを恥ずかしく思ったり、恐れたりしているが、新しい事実やアイデア、見解が「なぜ重要なのか」については、ほとんどいつも説明してもらう必要がある。(P.31-32)
相手が望む以上のことを読ませたり、聞かせたりしてはいけない。さらに知りたいかどうかの判断は相手に委ねること。(P.32-33)
「賢いメール」は、シンプルでわかりやすい
この「スマート・シンプル」を身につければ、言うべきことを、理路整然と伝えられるようになるという。
これは、日々のメールを書く際にも有効な方法だ。例えば、次のように「スマート・シンプル」にできる。
×BEFORE
週末のプランについて再検討のご相談 Re:誕生日会
○AFTER
新プラン:トランポリンパーク(P.34)
×BEFORE
いまさらの計画変更で申し訳ありませんが、この1週間は天気のこともあって、ジミーのパーティーについていろいろと混乱がありました。でもありがたいことに、子どもたちみんなを連れていける場所を見つけました。例の新しいトランポリン・パークです。土曜日の正午に行くことにしましょう。
○AFTER
ジミーのパーティーを新しくできたトランポリン・パークに変更します。今週土曜日、正午です。(P.34-35)
私たちはつい、BEFOREのように書きがちだが、AFTERの方が簡潔に、誤解なく伝わる。
この後に、伝えておくべき重要事項と、さらに知るべき備考があれば、それぞれを「スマート・シンプル」に書けば良いのだ。
早速、次に書くメールから取り入れてみていただきたい。