だからといって黒帯の昇段試験に情状酌量はありませんので、やはり戦いになると先輩たちに敵わず、何度も何度も倒されてしまっていました。

 それでも、16年目のその昇段試験では最後まで闘う姿勢が崩れませんでした。

 小さいときからいじめられっ子だったYくんは、強くなりたいと思って空手道場に入り、長い年月をかけて黒帯を手にしたわけです。

 本人も泣きながら喜んでいましたが、道場の仲間も同じように一緒になって喜びました。

 試合でもなかなか勝てず、後輩たちにも追い抜かれる状況にありながら、Yくんはつねに他人の成功を一緒になって喜べる人でした。

 だからこそ、周りの誰からも好かれ、心から応援されたのだと思います。

「いいなぁ」と思ったら自問すべし
「それは本当にほしいものか?」

 そうはいっても他人の成功を喜ぶことはなかなか難しい……と思ってしまう方には、それ以外の対処法もお伝えしておきたいと思います。

 ひとつは、競い合わないで済む人間関係をつくることです。

 年の離れた人、まったく違う業界の知り合いなど、ふだんの自分の生活とは関係のない場所で出会った人や、属性が異なる人であれば、比較したり、競争したりするところがあまりないため、フラットな気持ちで付き合うことができるでしょう。