しかしこの法律は限定的にしか適用されない。だから効力はいまいちだ。事実、法律施行後もいまだにチケット転売は繰り返されている。
ダイナミックプライシングを導入しないかぎり、高額転売を排除することはできない。イベント主催者と転売ヤーのイタチごっこがいつまでも続く。そしてイベント主催者がやっきになって対策に乗り出せば乗り出すほど、事態は迷走していく。ファンサービスが低下してしまうのだ。
チケットの発券開始が公演日ギリギリに設定される。顔認証システムを導入する。そんな不毛なことをやっている。複数枚のチケットを購入する人は、同行者の個人情報まで登録しなければならないようなケースもある。いろいろ面倒だ。つまり正当に購入したほかならぬファンがいちばん迷惑を被っているのである。本末転倒だ。
イベント主催者はチケット転売問題の本質を理解し、真のファンサービスとはなにかをいま一度考え直すべきだろう。