グランクラスの“改悪”が続くワケ
2025年4月に「値上げ」も予定
さて、多くの鉄道ファンや一般ユーザーが指摘する、グランクラスのサービス品質の低下とはどのようなことか。改悪リニューアルについて掘り下げてみよう。
22年10月には各路線・上下別だった食事が、全路線共通のメニューに変更された。その内容の低下は明らかで、地域のこだわり食材を使った生食から、冷凍食品に変更になった。なお、改変はあくまで「SDGsに基づいた食品ロス削減」の名目で行われた。
専任アテンダントも、1便当たり2名から1名に削減された。さらに北陸新幹線ではアテンダント乗務が「かがやき」だけになり、「はくたか」はアテンダントの乗務や飲食の提供がないグランクラス「B便」扱いになった(この場合、料金はA便に比べて3~4割ほど安い)。東北新幹線も含めて、こういった“格下げ措置”が近年は増えている。
サービスが低下する一方で、22年にはグランクラス料金を1~1.5割「値上げ」した。さらに、25年4月からは「最大2620円」の値上げを予定しているという(軽食と飲料サービス付きプランが対象)。原材料費の高騰や乗務員の賃金改善がその理由だ。
なぜ、グランクラスの人気は下降気味なのだろうか。
飛行機のファースト・ビジネスクラスは、離陸から着陸まで乗客全員が同じ空間にいるので、アテンダントがきめ細やかなサービスを行える。一方、新幹線の特性上、グランクラスは途中駅(東北新幹線なら盛岡や仙台駅など)の乗降客もいるので、アテンダントの対応にムラが出てくるのは仕方ないのかもしれない。
また、地上のラウンジに関しても、ANAやJALの空港ラウンジは内装や飲食サービスに改良を重ねてきた。プレミアムサービスの展開において、新幹線より航空の方が優位なことは否めないだろう。
近年は訪日外国人客(インバウンド)のグランクラス利用が目立つものの、もう一つの「残念な点」がある。日本人にも「使いづらい」と悪評高いJR東日本の予約サイト「えきねっと」が、英語版でも使いづらい点だ。サービスの低下と値上げが続くグランクラスの人気回復には、まだ時間がかかりそうだ。