また、これは個人的な感想だが、ミスドはそれぞれの需要によってターゲット層が多少異なり、このためにそれぞれの層が抱くミスドのイメージが違うことにつながっているように思う。

 SNSを見ていても、「ミスドの飲茶好き」など「食事」を楽しんでいる人は当然ながら今回の「台湾ゴハン祭り」に驚きはないし、新商品を歓迎している。一方で、ミスドを「スイーツ(手土産)」利用することが多かったり、ドーナツショップとして認識していたりする層にとっては、多少の驚きがあるようだ。

【参考】
「ミスタードーナツ、脱ドーナツ加速?台湾ゴハン祭りに『何屋さんか分からない』」(ビジネスジャーナル/2024年10月1日)
https://biz-journal.jp/company/post_383809.html

 人によって持つ印象が若干異なるということは、それだけそれぞれの訴求が成功しているからだろう。ここにミスドブランディングの強みがあるのではないか。

「ちょっと物足りない」
食事メニューに込められた深い戦略

 価格帯を見てもわかるところがある。

 前述したビジネスジャーナル記事では、ミスドのゴハン系メニューの価格について、例えば「台湾風ルーロー麺」(693円)や「たまごチャーハン」(605円)は、日高屋の「中華そば」(390円)や「チャーハン」(510円)に比べて価格優位性が低いと分析されている。

 確かに「食事」として比較すればその通りなのだが、ミスドでの店内滞在時間を想像すればこの価格差は自明のことだ。食べ終わったらすぐに退店することが半ばマナーであるラーメン屋とミスドは異なる。お客さんが支払っているのは、滞在時間も含めた価格だろう。

 また、これは筆者の観測範囲だが、ミスドの店内は女性客が多い。そして年代は幅広く、子ども連れの母親もいれば若い女性の1人客、2〜3人で訪れる中高生もいるし、さらに中高年も少なくない。