とりわけ、「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」という「三方よし」の経営思想、すなわち自社の利益のみを追求することなく、社会全体に貢献できてこそ良き商いである、との理念は、今も多くの大手企業の経営指針に引き継がれています。

 仕事が社会に与える影響を考えるということは、自分が世の中と繋がっていることをあらためて知ることでもあります。

「いったい何のために働いているのかわからない」と悩んでいる人もおられるかもしれませんが、自分の仕事が社会と繋がっていて、どこかで役に立っていると自覚できれば、自己肯定感も高まり、モチベーションも維持できるはずです。

 ひいては今後の業務をより良い方向へ導く改善点や、新たな取り組みを見つける気づきにも繋がっていくことでしょう。

少年期の吉田松陰頬は
頬を掻いただけで殴られた?

 武士が国を治めていた頃の日本は、この「公」の意識が今とは比較にならないほど強い時代でした。武士は自身が従事する公儀には私情を挟むということがありません。