一方、北陸や四国、静岡などの他にプロ野球チームがない有望な地域といえば、北関東です。ここには、人口の多さのわりに球場も球団もありません。逆に首都圏で言うと、セ・リーグが東京・横浜に3球団、パ・リーグが千葉と埼玉に2球団、近畿・大阪圏に2球団と、特定の地域に球団が集中しています。球団経営に明らかに情熱を失っている西武球団は、球団ごと身売りして、さいたま市に本拠を置くチームとして生まれ変わった方がいいと思われるし、どうやっても巨人に人気で勝てないヤクルトは、新神宮球場誕生とともにパ・リーグに移るという選択肢もあります。

日本の球団が最も見習うべきは
スポンサー獲得への貪欲さ

 また、スポンサーを多く獲得しているのもメジャーの特徴ですが、今の日本の球団は選手のユニフォームにロゴを入れたり、ソフトバンクのようにペイペイの名前を球場に冠したりと、親会社の広告機能の方を優先しているように思われます。これについても、F1レーサーのロゴだらけのユニフォームが象徴するように、「とにかく集めまくる」という意識を持てば、スポンサーをもっと獲得できるはずです。

 新球団には、今年から2軍戦にだけ参加しているオイシックス新潟アルビレックス、くふうハヤテベンチャーズ静岡ほか、独立リーグからの立候補も考えられますが、日本の場合は米国とは違い、社会人野球チームの存在も考えなければなりません。社会人ではトヨタ、NTT、JRなど現状のプロ野球の親会社より大手の会社もたくさんあるからです。

 もちろん、メジャーのように各球団が15人程度しかプロテクトできない大型のドラフト会議を開いて、新球団を応援する体制を整える必要もありますが、前述以外のホンダ、三菱グループ、日立といった大会社の社会人チームなら、財政基盤も安定しているし、もともといる社会人選手の力も相当期待できます(エクスパンションすれば、当然1軍選手全体の力も落ちるので、独立リーグや社会人選手にもプロの道は大きく開けます)。

 それだけではありません。今テレビでは、BtoB企業のCMが全盛です。広瀬すず出演でおなじみのAGC(旧:旭硝子)、川口春奈出演のニデック(旧:日本電産)など。大企業にもかかわらず、企業相手のビジネスを展開しているため、一般に名前が知られていない企業が球団を取得すれば、認知度を向上させるために多額の費用がかかるテレビCMを打つ必要がなくなります。

 そして問題は、この「日本プロ野球株式会社」を誰が取り仕切るかということです。プロ野球の象徴としての王貞治氏は絶対必要ですが、それ以外にメジャー流ビジネスを経験したイチローや松井秀喜などのスターに参画してもらい、それこそ大谷翔平もアドバイザーとして入ってもらえば、新球場、新チームにとって自治体への絶好のアピールとなります。

 実際の現場は若いビジネスマン(DeNA横浜ベイスターズの収入を2倍にした池田純氏など)に全権を持たせ、大改革を行ってもらえばいいでしょう。