都内のIT企業に勤める大内隆さん(仮名・26歳)は、人事異動で希望の部署に移ることができず、人事部と上司に問い合わせた。そのとき、人事担当から受けた説明は、
「大内さんは、MBTI診断でINFP型でしたから、ここの部署にはあまり合わないと判断しました」
といった内容だったという。会社側からすると、「配属ガチャ」を極力減らすために適正を見るというものらしい。
大内さんは部署異動後の翌年に転職活動を始めた。
「私は人事から言われた通りにMBTI診断を受けて、その結果、INFP型と出ました。その4文字の結果で希望の部署にはいけないと言われ、会社に不信感を持ったんです」
「お前、陰キャじゃん!」
プライベートでも友人と疎遠になってしまったという例もある。
都内の大学に通う篠田香菜さん(仮名・20歳)は、初対面の人やそこまで親しい関係でもない人に性格を決めつけられることに対して違和感を覚えたという。
「大学では授業中でもできるし、昼食や飲み会の場でも話題になります。やっていない人はその場で試していました。友人に知り合いを紹介されたときや、初対面でも『MBTI何?』とか聞かれて、「〇〇〇〇型」と言うと、「あー、俺とは合わないわ」とか言われたんです」
篠田さんは、所属するサークルでも先輩からも聞かれて結果を答えると、「おまえ内向的なのかよ。陰キャ(陰キャラ)じゃん!」と言われ、バカにされたと感じた。
「『MBTIハラスメント』とでもいえるんじゃないでしょうか。なんでもかんでもハラスメントにするのはよくないとわかっていますが、自分と話したことがないような人にも、その4文字だけで生き方を否定されているみたいで、すごく不快な気持ちになりました。どこのコミュニティーでもありそうな気がしています」
篠田さんは、この一連のことをきっかけにサークルをやめ、今はどこのサークルにも入っていないという。
ただ、こうした性格診断テストはサイト上にもさまざまあり、使い方には注意も必要のようだ。
一般社団法人「日本MBTI協会」のホームページでは、
「正式なMBTIの日本語版は2000年から日本に導入されています。現在日本で出版されている日本版のMBTI(JPP株式会社刊)は国際規格に則って開発された性格検査です」
「MBTIがベースになっているかのようなホームページにおいて、簡単な質問項目が掲載されており、それに回答するとタイプがでるようになっていたり、MBTIの有資格者であることの証明と有資格者の氏名の掲載もないものについては、世界規格のMBTIとは一切関係ありません。それは『似て非なるもの』です」
などと説明している。