「歳をとった親が言うことを聞いてくれない」。誰もが一度はこんな経験をしているのではないでしょうか。「親がいつまでも自分のことを若いと思っている」「病院ギライがなおらない」「お酒の量が減らない」などその悩みはさまざまです。親のことを思って言ったのにもかかわらず、いつも喧嘩になってしまうのは、実は伝え方に問題があります。そんな問題を解決すべく、『歳をとった親とうまく話せる言いかえノート』が発刊されました。本記事では書籍の一部を抜粋してお届けします。
老いた親が大音量でテレビを見ている
「テレビの音が大きくてうるさいよ。もっと音量を下げてよ」。音量が大きすぎると、一緒にいる人は居心地が悪いですから、こんな言葉が出てしまうのも無理はありません。
しかし、高齢の親にとっては「適切な音量」なのですから、あまり意味がない注意です。ここで、知っておきたいのは、程度の差こそあれ、どんな人でも高齢になれば「難聴」になるということです。ですから、問い詰めるような言い方はなるべくしないであげたいですね。
とはいえ、「まだ大丈夫」などと様子を見ているうちに、自動車の走行音などに気づかなくなり、事故に遭うこともあります。高齢になった親の健康問題を「本人任せ」にするのは「放置」と同じです。重大な事故につながらないよう病院の受診を促す声かけをしましょう。
こういった場合は「聞こえにくくて大変そうだね。補聴器があると、すごく楽になるみたいだよ。一緒に行くから検査してもらおう」と声をかけてみてください。
難聴には「補聴器」をつけるほかないので、病院に行くことを促すのが吉です。その際、「一緒に行くよ」と伝えれば、病院に足が向かいやすくなります。病院嫌いの親でも、あなたが一緒ならば、きっと心強く感じるでしょう。