ダイヤモンド編集部が面積当たりの収益性に着目して選出する中小キラリ農家8位にランクインした香川県の末澤農園。そのオーナー経営者は、キウイ栽培の標準化やAI(人工知能)技術の活用を通じて生産性を高める効率経営を実現した。特集『儲かる農業 下剋上 ピンチをチャンスに』の#22では、「時給6000円超」を目指す経営手法に迫る。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
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キウイ生産を効率化した経営手法
“マニュアル化”と“AI活用”が鍵
四国の北東部に位置し「うどん県」として知られる香川県は、キウイフルーツのオリジナル品種が全国自治体トップの10品種以上という、知られざる「キウイ王国」だ。
その中で際立った存在感を出しているのが「中小キラリ農家8位」の末澤農園(中小キラリ農家の詳細については、本特集♯10の『「中小キラリ農家」ランキング2023【ベスト22】1位・ヒューリック出資のイチゴ農家の収益力』参照)。
代表の末澤克彦氏は、約35年間、香川県の農場試験場の職員として、自ら「さぬきゴールド」などキウイのオリジナル品種を育成した経験を持つ。
定年後に実家の0.8ヘクタールの農地でキウイやかんきつの栽培を行っており、独自の“スマート農業”の手法を導入。 個人の技術に依存していた農作業を素人のアルバイトでもできるように分業化するとともに、AI(人工知能)を活用した生産管理技術で、生産性の向上を実現した。
そんなキウイの第一人者と呼べる末澤氏は「日本のキウイの生産技術は世界から取り残されている」という危機感を抱く。それがキウイの経営効率化を独自に追求する原動力だ。
次ページでは、末澤氏が実現した「効率経営の手法」に迫る。同時に、新たなビジネスモデルとして目指しているキウイの知財化に向けた活動も追う。