高校生の夏休みは特に危ない
すぐ身近にある「闇バイト」

 トクリュウが厄介なのは、首謀者に近い指示役を捕まえるのが非常に難しいところである。2023年に特殊詐欺で逮捕・書類送検した2455人のうち、その組織・犯行の中心に近い人物「中枢容疑者」は49人(2.0%)にとどまった。

 犯行は指示役と実行役など、役割を細分化して行われるが、実行役はネットを通じて集められることが多い。2024年版の警察白書によれば、特殊詐欺の受け子(現金引き出し役)になった経緯は、「SNSからの応募」が約42%で最も多く、求人サイトやネット掲示板からの応募を合わせると5割近くにのぼる。

【参考】令和6年 警察白書 匿名・流動型犯罪グループに対する警察の取組
https://www.npa.go.jp/hakusyo/r06/pdf/02_tokushu.pdf

 闇バイトと呼ばれる犯罪の求人は、「ダークウェブ」と呼ばれる秘匿性の高いネットワーク上にある闇掲示板にもあるし、Xなどの主要なSNSでも簡単に見つけることができる。

 ネットの利用は年齢が若いほど積極的らしく、マイナビの調査(2024)によれば「SNSで直接アルバイトの応募をした経験がある」では大学生が26.5%で、高校生は36.7%となった。

 一方で、「SNSでのバイトの直接交渉は第三者のチェックが働かず、違法な労働に巻き込まれるおそれがあることを知っている?」との質問には、「はい」と「いいえ」がちょうど半々になった(2024年)。2023年は「はい」が44.8%だったので、リスクの認知は広がっている傾向だが、まだ浸透しているとはいいがたい数字である。

 また、特に高校生は夏休みなどの長期休み中にバイトへの就業意向が顕著に高まるので、保護者や周りの大人はその時期特に警戒を強めたい。

【参考】マイナビ 「高校生のアルバイト調査(2024年)」
https://www.mynavi.jp/news/2024/05/post_43399.html

同「大学生のアルバイト調査(2024年)」
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20240425_74778/